平和と若者へのメッセージ

平和と若者へのメッセージ

白鴎遺族会の想いを後世の人々に伝える文書として、「白鴎通信」がございます。
「白鴎通信」は、白鴎遺族会の連絡紙として全国の会員の親交と、御霊を偲ぶ心の絆を綴ったものであります。そもそも会報の発行は、「第十三期遺族会会報」創刊号で遺族世話人代表が望まれた趣旨の通り、春秋慰霊祭のご通知を兼ね現在まで一貫して続けられ、最多時には5800部を発行しておりました。
発送作業は全部世話人の手によって行われました。「白鴎通信」1号、2号を読み返しますと、当時、愛息を失った父母上はまだ壮年でした。悲嘆に耐えながら産業復興の責任ある立場におられました。また、復員同期生の方々が、友の鎮魂を祈って戦没状況の調査と名簿の整備に努められた結果、やがて各地方で慰霊祭が行われるようになりました。
平成12年4月8日時点で慰霊祭は百回を迎えました。

この時点で84号まで重ねた「白鴎通信」は、春秋の慰霊祭のご案内のみならず、父母上様兄弟姉妹の方々の哀惜の想い溢れるお便りと、同期生の戦いし日々の憶い出と鎮魂の祈りが綴られております。常に御霊と共にある心の絆は、父母上様が戦後お悲しみの中でいかに「白鴎通信」を心の支えとされておられたか、毎号にお寄せ頂いた追憶の数々に表れております。ご遺族の方々も父母上様から兄弟姉妹に、そしてそのまた次の世代へと移りつつあります。

かつての大戦に、前途有為の青春を省みず、祖国の危急に身を投じ、雲流るる果てに尊い命を捧げた学徒の真情を語り伝えるために、白鴎遺族会は昭和27年「白鴎通信」の発行とほぼ同時に、戦没海軍飛行科予備学生の手記「雲流るる果てに」を出版しました。
また昭和51年には、文化勲章受章者北村西望氏制作の「雄風」(海軍飛行科予備学生之像)の寄贈を受け、これを靖国神社遊就館に奉納安置し、その背面に「海軍飛行科予備学生・生徒とは」の掲額をして、歴史の事実を刻み永く後世に残すこととしました。
我々日本人は、愛する家族のため、祖国のため、自らの犠牲を省みず、命をかけて戦った先人たちが確かにいたことを決して忘れてはなりません。
この先人たちの精神は利他の精神という全体を思いやる人としての強さと優しさに満ちていると感じます。
最後に、戦後教育によって忘れさられてしまった、この崇高な精神をもう一度取り戻すことが、私たちの愛する日本が世界から一目置かれる存在になる、日本再生への道であると信じております。そして、先の大戦で学んだ「平和」であることの大切さを、戦争体験遺族の会である「白鴎遺族会」であればこそ、強く、切実に訴えられると考えます。
少しでも共鳴してくださる方がいらっしゃれば、遺族、同期生に限らず、ともに、世界平和と日本人のこの崇高な利他精神を取り戻すために立ちあがりましょう。

 

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